金曜日, 1月 11, 2008

金余りについて

会社を経営する立場であったときに、金融機関の人と話をして驚いたことがある。

それまで僕は少しの貯金を銀行に預けるとか、住宅ローンを借りるとか
ということくらいでしか金融機関とは付き合いがなかった。

ところが、違う立場で金融機関の人とあってみると、銀行がまるで違ったものに見えた。

彼らは、お金を貸したくてしょうがないのだ。それも、あまりお金を借りたがらないような
経営している会社とかに。

また不景気といわれているようなときほど、実は金融機関にはお金が余ってしょうがないらしい。

不景気では、本当にお金のない人もいるだろうけど、それよりお金のある人も先行きを
心配してそれを使わず銀行に預ける。

本当にお金がないというより、お金が世の中を回らなくなるのが不景気というものなのかもしれない。

銀行の立場で考えれば、お金を預けてもらうということは借金をしているのと同じことだ。
早くその借金の利率よりも高い利率で他に貸し付けないと損がでてしてしまう。
でも不景気だと貸し出す先がなかなかない。

バブルの頃とかもう土地さえ担保にとれれば貸したもの勝ちみたいな感覚だったのではないだろうか。

年末に久しぶりにあった友人と話していて 

「買いたいものがない。」

と言っていた。僕もそうだし、今の日本には買いたいものあまりない人多いんじゃないだろうか。
自動車も売れなくなってきているというし。

そして、お金があまる。

そして、人が金融機関に預けたものが
より有利な運用先をもとめて、必死で動き出す。

米国のサブプライムローン問題の記事を読んで、
なんてモラルの低いことやっているんだろうと単純に思ったけど、
おそらくその根底には、そういうことでもやらないと、資金を投入する先がないから
住宅の証券化ということで無理矢理にそこそこ利率のつくものを作りださざるを
得ないような強い圧力が自然にかかってきたのではないかともとれる。

(だからそれでよいというわけではもちろんないが)

皮肉なことにサブプライムローン問題で、消費が停滞すると、
さらにお金は余って、もって行き場がなくなってきて、
それで最近は金の値段が上がり続けている。

多くの人が、自分のお金をつかって、自分の欲しい物を買うよりも、
自分のお金を増やそうとすると、またまた一段と金は余ってくる。

それがいわゆる過剰流動性とかいう奴になって、経済を不安定にする。

物やサービスの提供と消費という実体経済で動くお金より
そのお金自体をもっと増やしたいということのために動くお金のほうが多くなったら
そりゃシステムは不安定になる。

でも、その根底にあるのは、

「お金を使って欲しいものは特にないけど、
お金がなくなるのは心配だからお金を増やしたい」

という気持ちを多くの人がもっているということなのではないだろうか。

新興国の経済が成長しているのは、自動車、洗濯機、テレビとか
そういう具体的な欲しい物があって、まだそれをもってない人が
たくさんいるということが大きいのではないだろうか。

なんて知ったようなこと書いて、自分にはこれから先が全然わからない。

でも、金で買えないものを心が欲しがっているということだけは
喉が渇いたときに水が欲しいように強く感じているんだ。

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