水曜日, 5月 28, 2008

寿司とおじさん

暇人の自分もたまには大切なミーティングがある。
その会社の社長さんもでてきて話は盛り上がっていた。

その最中に、母からも妻からもしつこくメールとか電話が携帯に入ってくる。

しょうがないから、電話にでると、小さい頃からお世話になったおじさんが
危篤状態だということ。

「ずっと君に会いたいといってくれていたのに。俺は何をやっていたんだ。」

とおもわず会議の席で声にだしてしまい。その社長さんには謝って、そのミーティングを
急遽中断して、おじさんの入院している病院に向かった。

もう、おじさんと話をすることは出来ないだろうと思うといたたまれなかった。

病院につきおじさんのいる病室に行くと、酸素吸入をしているけど
それでも息が苦しそうだった。

ところが僕が着たら、それがわかったようで

「キミにあうのは20年ぶりだな。」

とだけ言ってくれた。そのあとまたしゃべれないまま。
自分の結婚式にもきてもらっていたはずなので、
あうのが20年ぶりなのではなく、
僕を最後に寿司屋に連れて行ってくれたのが20年前なのだ。

寿司は好物だけど、昔は回転寿司もなかったから、子供がそんなにいけるものでもなかった。
伯父さんには何回寿司屋に連れて行ってもらったことだろう。

最後に連れて行ってもらったのが、社会人になったまだそんなにたって
ないころだから、確かに20年前だ。

自分もおじさんには本当に会いたかったのだが、
会えなかったのはどこか今の自分に卑屈になるところが
あったからだと思う。

子供の頃、高い寿司をあれだけご馳走してもらいながら、
この程度の者にしかなれてないんだなあと。

おじさんはもう86歳になっていたけど、面影はそのままだった。
それでまた昔をおもいだした。

さっぱりした気持ちのよいおじさんで小さな会社を経営して
楽しそうにしていたので、僕のようには過去にこだわらない
人だと思っていた。

その寿司を最後におごってくれたときに駅まで歩く途中だったか、
おじさんが昔勤めていた会社を辞めなきゃ良かったといったことに
驚いた。

おじさんがいたときはその会社は始まったばかりで、
それから世界的な大企業になっていた。

おじさんはおじさんで、良い楽しい人生を送ってこられただろうし、
弱音や悔いを口にする人でもなかったけど、
もっと大きな仕事をしたかったのかもしれない。

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